人と鉛筆
美しい字を書くには鉛筆を尖らせなければならない。
尖った鉛筆で書く字は美しい。
たくさん字を書いているうちに丸くなる。
丸い鉛筆は周りを傷つけないので、受け入れられる。
しかし、丸くなった鉛筆では美しい字が書けない。
丸くなった鉛筆に価値はないのか。
丸くなった鉛筆の残したものには価値があるかもしれない。
丸くなった鉛筆は二度と美しい字を書くことができないのか。
いや、もう一度尖らせればいい。
尖らすにはどうすればいいのか。
身を削るしかない。
尖った鉛筆の芯は折れやすい。
先の折れた鉛筆が書く字は先の丸い鉛筆の書く字よりも擦れて醜い。
擦れた字のまま書き続けることもできる。
きっとそのうち丸くなる。
でも俺はその鉛筆を削りなおして使うだろう。